藤麻無有彌の日記:||

藤麻無有彌(とーま・むゆみ)がダラダラしています。

“『FILE083:台本のない音楽会』を見た。 ”

爆笑問題のニッポンの教養
2009.09.01.O.A.
『FILE083:台本のない音楽会』を見ました。

今回は音楽がメインで。番組内容・各自の発言は抜粋してます。
また発言内容は言葉の通りでは無い場合があります。


今回の対談相手は“教授”こと 坂本龍一 氏。

では、以下。 ↓

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今回はNHKにて。スタジオらしきところへ入っていき、そこには坂本氏が。

テーブルを囲んで、教授のパソコンに入っているものを紹介していく。

13世紀のもの。
古楽(こがく)と言われるもの。など。

教授は いわゆる普通の ポップスなどは聞かないようで。田中氏が普段聞くもの、聞いてきたもの のCDを持ってきて流したけど、途中で止めたりして。

田中:「ものすごく 興味ない」
太田:「何も引っかかってこない」

田中:「ミュージカル……サタデーナイトフィーバーとか…」
坂本:「つらいなー…」
(笑)

続いて『花』という曲を紹介される。

坂本:「普通 リズムっていうのは 周期性がある。けど これは周期性が…
    わかんない。(笑)」


次に、音の無い音楽を紹介される。
始め、何の説明も受けずに聞いていた為、爆笑問題の2人は『聞こえる?』『いいや』とやりとりしている様子だった。

坂本:「これはね、音がしない音楽なんです。」
田中:「ちょっと、それ行きすぎじゃないですか。」
太田:「ばかにしているんじゃねえかって。」
坂本:「これは本当に有名な曲で。4分33秒っていう曲なんだけど。」

坂本:「提起したのは、音があることだけが 音楽じゃないよ。」


レストランにおいてのBGM…、食べ合わせみたいなもの… と教授。
太田:「そば屋でジャズ っていうのも」
坂本:「いい時もあります。ミスマッチな。
    中華の時にボサノバかかってて…不機嫌になっちゃいましたね。」(笑)


太田:「サザンとか…どうですか」
坂本:「どうかなぁ…」
サザンの『彩-Aja-』をかける。

……。
坂本:「もちろん 桑田くん顔見知りだし 知ってるんだけど、理解しようとするんだけど よくわかんないんだ。」

坂本:「まず 大問題があって、歌詞が耳に入ってこないんだ。
    歌のある音楽を聞いていても、入ってこないんだ 意味が。」

太田:「カラオケ 地獄ですか?」
坂本:「カラオケ地獄ですねぇ」

坂本:「記号として入ってくるので 全部が音なんですよ。僕は。」

田中:「『いけないルージュマジック』とかは どういう感覚でやられてたんですか?」
坂本:「ほとんど分業で 音は僕が。あとは清志郎くんが」
太田:「清志郎さんの歌ってる言葉や…あんまり気にしてない…?」
坂本:「気にしてないですね」
太田・田中:「へーーっ!!…」

太田氏、普通 歌 って ね、キズついたりした時の薬であったりとか…そういう。坂本さんそういう経験ないんでしょ? と、言われ 教授が紹介したのが “ボブ・マーリー”。

また、J-POPも坂本さんのパソコンに入ってる ということで。
坂本:「“時給800円”って知ってる?お笑いのヤツ」
パソコンのJ-POPのフォルダの中には、“時給800円”、“宮沢りえ”、“ACIDMAN”、“アジカン”…、そして流した曲が、“相対性理論”の『テレ東』。


言葉でどれだけ言っても届かないところに、音楽に乗っけることによって届くものがある。

太田氏、この前の藝大でオルガンの生徒のコが お客さんが来ないことを嘆いていたことに触れ、
坂本氏、毎週のように 現代音楽のコンサートに通うと、500人くらいのお客さんしかいなくて、毎回 同じ顔を見て 顔馴染みに。これじゃ広がんねぇなぁー ……と。

太田氏、例えばさっきの無音の音楽みたいに 我々が理解出来ないとこへ行っちゃう っていうのもいるじゃないですか。
と。
坂本:「それはそれで 結構簡単… 実はね 」
と ピアノの前に座り、鍵盤をデタラメに弾く。
坂本:「こういうのはね 簡単」
田中:「これが芸術だ みたいな。」

だけど、自分も良いと思って 人に共感してもらう。っていうのはやっぱり難しい。と坂本氏 話して、今度はピアノを丁寧に綺麗に 弾く。

坂本:「これだとさ、聴いてる普通の人もわかるし でも そん中に織り込まれてるような感情っていうのは 複雑にもできるし、単純に聞こうと思ったら単純に聞くこともできるし。」

坂本:「何で音楽があるのか っていうのはわからない。ただ 色々研究してる人がいて、一説によると、例えば まだ言葉も喋れない赤ちゃんに お母さんはどうやって話しかけます?」
田中:「子守歌…?」」坂本:「例えば 「はい○○ちゃん、ミルクよ」 と すごく 声が高くなって 抑揚が大きくなって 歌のメロディのように あれは万国共通。」

坂本:「言葉と音楽がまだ 未分化の…ホモサピエンス……何万年か前の言葉と音楽が分かれる前の状態のコミュニケーションは ああいうものだったんじゃないか っていう説がある。
    感情の ものすごく深いところ…」


“音楽って何だろう”

2001.09.11. テロの時の出来事を振り返りながら…。

坂本:「あの うるさいニューヨークで ニューヨークが しーん、となっちゃったの。音がしないんですよ。車のクラクションもない。
    78時間経って、生存者がいないという状況になり 最初 耳に入ってきたのが“イエスタディ”なんですよ。ビートルズ。」

坂本:「一つの音楽の原点っていうのかなぁ。何のために音楽やるのか っていうのはそこで――…。
    本当につらい時とか 恐怖を味わっている時は 人は音楽はできない。あまりにも恐怖で体がこわばっているし 特に足元がね。」
太田:「それをほぐすのも やっぱり音楽なんですよね。」

坂本:「3〜4週間 その状態だったんだけど、僕はあまりにも次 何が起こるか分からない。 また 第2のテロがあるかも どうなるんだろう…ってなってたんだけど…。
    やんなきゃいけない仕事があって 〆切が迫ってて どうしてもやらなきゃいけない ヤだなー と思って。でも ま、しょうがないから作り始めた。そしたらね、音で体が溶かされる。
    音でこういう効果があるんだ っていうのが しみじみそこで感じましたね。」

太田:「泣ける っていう時は だいぶいい状態ですもんね。」
坂本:「泣けないくらいに恐怖で縮こまってる時に 音が聞こえてくると、緩んで 涙が出てくる。
    これはやっぱり一つの癒しであるし、追悼でもあるのかなぁ。」

太田:「それはやっぱり音楽が それこそ世界を変えている っていうことの 一つの現象じゃないですか。」
坂本:「音楽が…ほら世界を変えるとか言うけどね 僕はそこまで力を持っていいのか っていうことも疑問なんです。
    つまり そんな力を持ったら危険だと。ま 反対にも使えるからね。 っていうのは…」
太田:「ワーグナーなんかも」
坂本:「そうそう。そうでしょ。
    ナチスがね、それを利用してものすごく最大限 効果的に使ったわけよ。それでドイツ国民を一つの方向に持ってっちゃった そんな力がある。これは気をつけて使わないと。
    だから世界を変える っていいことのようだけども もしかしたら その目的がさ 100%正しいとは限んない。」
太田:「まぁ そうですよね。」

坂本:「ぼくらが信じていることが100%正しいとは限らない。なのでいつもそれに対する疑問は持っていなきゃいけないと思っていて。」
太田:「そうすると 作曲するときに――…」
坂本:「そこがだからジレンマなんです。――あえて 抑えよう っていう。」

太田:「いいじゃないですか それで世界が滅びようと」
坂本:「それ 悪魔のささやきだよ。それ。(笑)」


“耳をすませ
 人類が生まれてから
 音楽が鳴りやんだことはない。”


そして最後に 何か弾いて頂ける ということで2人そろってのリクエスト「戦メリ」と、坂本氏に『戦場のメリークリスマス』を目の前で弾いてもらう。

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番組中で、爆笑問題の2人と、教授が紹介した曲は、爆問学問HPにリンクがありましたので。ま、それで。

強い力を秘めているもの それを使うこと …に関しては前にも、我々は使い方を誤らないようにしなければいけない…という話があったような。

無音の音楽については、対談感想で田中氏の発言にもありますが、『実績もある人だから』っていうのがやっぱり。 ね。

『音があることだけが音楽じゃない』って言うのはもう芸術の域だと思いますし。感性の追及だと思いますし。

で、太田氏が、前回の藝大スペシャルでのオルガン科の生徒さんの話をして。

教授がピアノをデタラメに弾いて「こういうのは簡単」ってありましたけど、これは藝大の時に菊池先生が「オルガンは裸で弾けばいい」 に繋がってくると思うんですが、

注目を集めるためにどのような表現をするか というのは容易だけど、共感というのが。

面白かったです。

けど、音楽を表現すること自体と、 それが社会の中でどう消費されたいか についてもうちょっと聞きたかったですね。