一色 登希彦 , 元町 夏央 , 朱戸 アオ , 大瑛 ユキオ の4名による共著。
『九段坂下クロニクル』を読みました。
私はIKKI読者なので、この作品が“イキマン単行本部門”で引っ掛かった時から、『単行本化に向けて鋭意製作中』を通して気になっていまして、出たら買おうと、ずっと思っていました。
何よりこういう企画が好きで。
よく竹熊健太郎さんの『たけくまメモ』では、出版業界不況についての記述が多く見られるのですが (…こういう話の振り方をして このエントリと話が繋がってるのかは微妙ですが) 、単行本でいきなり というコトは、原稿料が出てないんですよね。(先行掲載された、“ごはんの匂い、帰り道”は どうか知りませんが。)
同人作家のオムニバスのようなもの(?)を、ちゃんとプロの編集さんと作品を一緒に作った っていう。意図が面白い。好き。
雑誌に売れる作品があると、雑誌じゃなくて売れる作品の単行本ばかりが売れるから、雑誌の売り上げが伸びないとも言うけど(モーニングでの“バガボンド”とか? 最近のモーニングの売り上げは知らないけど)
こういう手法は雑誌にどう影響するんでしょうかね。
本書の感想ですが、“此処へ”が一番好きです。オチはなんとなく予想ついてましたが、経過が好きです。…なんというか…、無様なまでにも“幸せ”に執着するさま というものが。素敵です。
この話での 幸子 の“幸せ”と、次郎 の“幸せ”は、多分 別々の価値観のもとに作られた“幸せ”だと思うけど、“価値観の違う幸せ”が近付いていく“幸せ”もあるのかな? と考えたりしました。
良い作品です。
建物をモチーフにしたオムニバスですが、相変わらず生きるコトを揺さぶる作品は素晴らしいです。
いつまでも“当たり前”に疑問符をぶつけるものは良いですね。この企画も含めて ね。
九段坂下クロニクル 著者:一色 登希彦,元町 夏央,朱戸 アオ,大瑛 ユキオ |