藤麻無有彌の日記:||

藤麻無有彌(とーま・むゆみ)がダラダラしています。

“【映画・テレビ】 : 『ディア・ドクター』を見た。”

親が『ATARU』を見ていた所為で冒頭部分は見れなかったんですけど、途中から。

映画、『ディア・ドクター』を見ました。


途中からだったので、時系列どうなってんだ? と。終わってから後日談として語られてることになってるのか? って探り探りでしたけど。まぁ、大体。

けど この作品がこの年末年始に見た中で一番感情移入できました。
映画の感想エントリで、日常描写について何度か書いてますけど、やはりそういうのが好きですね。
それを強く感じたのは本編後半で井川遥さんが八千草さん演じるお母さんと一緒の空間にいる画とかね。どうしようもない日常が心に刺さります。…ストーリー的にはまだニセ医者だと明らかになる前あたりなんですけどね。


感情移入するのも、この話が現代日本で有り得なくないというか。
田舎の医者で大きな病院も無いようなところで、小さな開業医にいる物腰柔らかそうなおじさんに頼る っていう。
ましてや よくネットのニュースで見るのが、どこかの田舎で医者が全然定着しなくて、入れ替わり立ち代り医者が来てはいなくなる みたいな記事も見ましたし。

ニセ医者が感覚的に重篤な状態から治す っていうのも、別にこれきちっとした医療とかじゃあなくて、昔の知恵みたいなもので治す的な? だから医師免許なくても元気になって、生きているならOKじゃん みたいな。
安心与えて 患者を元気にさせるのが医者ならそれでいいやん? ともね。

八千草さん演じる鳥飼さんの病気についても、井川さん演じる娘さんが葛藤していたけど、大きい病院に母を移すことが正解かどうか っていうのも微妙で。
病気は治るワケでは無いけど、田舎の自分のとこで安心した環境で日々を過ごし、病状が自然に悪化して死ぬほうが幸せだったのか。
もしかしたら、入院させることによって、足腰が弱り、生きる意欲も弱り、精神が薄弱になるんじゃないか っていう懸念も実際ありますからね。……たしか実際ありますよね? 入院が原因でアルツになる っていうのも。
『ダメダメ病気なんだから寝てなくちゃ』と年配の方を…気持ちは元気なのに押さえつけて、ほんとうの“病人”にしてしまう っていうのもね。

だったら医者としては嘘かもしれないけど…医師免許は持ってないけど、なんとかうまいこと治してるし、村人安心してんだから それでもいいやん? と、思えなくは無いですけどね。
ただ医師免許持ってないから犯罪だけど。
で、それで医療ミスやったらおおごとですし。
…ただ医療ミスを し た ら ですけど。バレなければ。と。

案の定、ニセ医者だとバレてからは、安心してた村人が手の平を返す っていうセオリー。
別に僻地の田舎じゃなくたって、事実が嘘だとなれば「やっぱなー、おかしいと思ったんだ」なんて言うのは誰にでもあることですけどね。


実に難しい問題ですよ。
ただ、重過ぎないんですけど。この作品。

鶴瓶さんが出てるから見てた ってのがデカいんですけど、逆に、鶴瓶さんじゃないとこの作品は難しかったのかもしれないなー って思いました。
つか、配役が見事です。
誰もが持ってる鶴瓶フィルターと医師という役柄を通して見るのが見事にマッチ。
BSプレミアムで見てたんですけど、終わった後の小野文恵アナのコメントにもあった通り、『家族に乾杯』を見てるからこそ、どこの土地に行っても村人と分け隔て無く話す鶴瓶さんを見てるから、人間関係に違和感が全く無い。
そしてたまに何喋ってるか分からなく聞こえるときもあるモゴモゴした喋りwwww
『スジナシ』とかたまにヒドイw  でもそれでも成立するという芝居。
実況でどなたかが書いてましたけど、『タモリさんがよく言う「鶴瓶の目は笑ってるように見えてあの奥は分からない」という目』とか。
全てが事実であり真実であるけど、本懐は分からない。
だから思い込みが全てを占めるから“ニセ医者”と発覚した途端の批難。

けど、作品のラスト、大きい病院に入院してる鳥飼(八千草)さんの、“来訪者”への笑顔は、思い込んでる対象への感情がブレてないコトの証明でしょうし。
いやー、鶴瓶師匠、存在が反則ですわー。(笑)


また、研修医の瑛太くんや、看護師役の余貴美子さんもポジションがベストだったのでは。
余さんも結構ズルい役者さんですよね。(笑) 作中ポジションがベテランですもの。




画面について、
部屋の柱を画面の真ん中に配して、同一の部屋なのに人物2人が分断されてるような画面構成がどこかであったのですが良いですね。


面白かったですよ!

あ、途中医者役で昨年末に亡くなられた中村勘三郎さんがチラッと出演されてたのはビックリでした。
ほんと出演シーンとしては短かったのですが 存在感ありましたよ。

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