藤麻無有彌の日記:||

藤麻無有彌(とーま・むゆみ)がダラダラしています。

“【映画】・『東京家族』を観た。”

東京家族』を観てきました。

今年に入ってから4本目の劇場鑑賞作品。


昨年から結構映画を観てる中で、予告映像とかも色々見てきたんですけど その中で、
父・橋爪功さんが、息子・妻夫木聡に、
「かあさん死んだぞ…」
と、屋上でつぶやくシーンの、ただそれだけでウルッときてしまったんですね。
スクリーンの中の妻夫木さながらに。

で、以来気になってたので見に行きました。

山田洋次監督作品なのですが、それとは全く知らなくて。
山田洋次監督作品を初めてまともに見ました。(テレビでなんかがやってるのをチラ見したのはあるかもしれないけど。)

平日の昼間に、120人キャパのところにおよそ10〜12人くらいかな。
若いのは私だけ!(!?) ほかは割とご年配の方ばかりみえたような…。



小津安二郎監督作品の『東京物語』のリスペクト?オマージュ?だそうですけど、それも観たコトは無いんですね。

で、
映画見終わったあとで、『東京物語』のWikipediaを見たんですけど、ストーリーもそれをほぼ踏襲してたんですね。それ自体も知らなかったワケなんですけど。。。


以下、ネタバレありますけど、『東京物語』とほぼ同じストーリーなので。。まぁ、アレですが。













内容は広島の家から東京に住む3人の兄弟、長男(西村雅彦)・長女(中嶋朋子)・次男(妻夫木聡)と  父(橋爪功)・母(吉行和子)が会うというもので。

慣れない東京に行って、年老いた親が子ども達に振り回される っていう。


橋爪さんはメイク?格好がそうだからなのか、かなり老いて…る人を演じてるように。刑事ドラマで見るような飄々とした雰囲気は感じず。けど“元・教師”で、年を重ねて丸くなった的な雰囲気があったり。
吉行さんは完全に“良いお母さん”でしたね。市原悦子さんに当初キャスティングされる予定があったとかウィキにありましたけど、この映画の場合は吉行さんのほうが。
しかしいつ見ても吉行さんの芝居…なのかなんなのか、すごく“いい人”なんですよねぇ。吉行さんのドラマでの印象っていうのが。
今作の母としての役柄も、気遣いというか気を利かすことに長けてて、柔和で懐が深い …っていう子どもが甘えがちな、実にいい“お母さん”なんですよねぇ。

長男一家は、西村さんのカタさが一つ気になったけど、そういうものなんですかね。
その妻役の夏川結衣さんは最後にキャスト見るまで夏川さんだと気付かなかった…。フツーに医者の嫁になってあうあうしてるお嫁さんに見えた。
の、子ども2人は…冒頭、この2人のやりとりが結構あったけど、
すっげぇうぜぇですね☆(笑)
と、思う反面、離れて暮らす祖父・祖母との関わり方なんてそんなもんなんだろうな、って思ったりも。
長男の子どもの長男(中学生?)の中2病っぷり?というか、思春期独特のささくれ具合っていうのはホントうぜぇな、と。(笑)


長女の中嶋朋子さんも、中嶋朋子さんだとはキャスト見るまで気付かなかった。。。
の、旦那役のこぶ平さんはこぶ平さんでした。
何度か映画の感想で「『芸能人フィルター』が入ると役柄としての役割が見えなくてイヤ」的なコトを書いてると思うんだけど、こぶ平さんはこぶ平さんなんだけど、ストーリーの軸として平山家の外にいる婿の立場でもあるからか、別に気にならなかったとゆーか。


次男の妻夫木くんは…っていうか、テレビで『ジョゼと虎と魚たち』を見たり、『ブタがいた教室』を続けて見てたあとなので、私的にもどんだけ映画で妻夫木見てるねん! っていう感じなんですけどw
妻夫木演じる『そこらへんにいる スキルは高いけどなんだかよく分からないダメな若者』感は今作でも健在、っていうかww
this is 妻夫木聡だったんじゃないかな。
これ、元の『東京物語』には無い立ち位置なんですってね。あとで知ったんですけど。

次男の位置は便利な立ち位置ですよね。
まともに働いてないという役割があるから、長男・長女から、ひいては父親から「だからアンタは…!」みたいなコトを請け負う立場でもあるし、両親が東京観光をするのに、一番マトモに案内した感があるよね。はとバス使うのも観光に便利 っていうのと、自分(次男自身)も少し休めるし、っていう具合がさ。

特に長女に顕著だった、『親孝行としてしている行為が、相手(親)にとってはあまり嬉しくない』っていうのもねー。これよくあるんでしょうねー。
みなとみらいのホテルで老いた両親は過ごしたいと思わないだろうねー。父は違和感を無言で思い、母はそれも娘の好意だからと受け止めたり。
親孝行した っていう満足感は得たいけど、自分の生活もあるから親にずっと構っていられないから鬱陶しいし、っていうねー。長男もこれに関しては なぁなぁで済ませてる感じだったしなー。これはストーリー後半の、広島で諸々を決めるときもそうだし。
長女的には病院で悲しんでるときにも、悲しみに酔ってるように見えたり。一方で広島では淡々と事を済ませてたり形見分けで『私が私が』と出たり。

そんで次男が冷めた目線で見てるとかねー。


親孝行としては、次男の家で一晩過ごす吉行母がどう見たって一番良いですよね。
いい感じの彼女(蒼井優)がいて「安心したわ。嬉しい。」って思ったり、息子(次男)から「じゃあ母さんはどうだったの?」って聞いてくれるコトも嬉しいだろうし。

彼女(役・蒼井優)が、母や、ストーリー後半で父にまで気に入られるのはなんだろうね。
色々こなしてくれてたからか?見た目の雰囲気か?(←   )
けど逆に、父・橋爪目線で見ると、たしかに『不肖の息子にこんなコがいたら任せられる』と思うかもしれないなー、とも共感できるんですけどね。うーん。



なんだろうねー、このテッパン具合っつーかw
家族の『様式美』? …や、美しいかっつったらどうなの? と思うところもあるけど。




吉行母が倒れるところは分かっていながらも泣きました。
一緒に階段を上がってた小学生の子どもの気持ちもよく分かる。
ここはとても悲しかったね。屋上のところもね。


ストーリーのラストとなる、母の一番大切な形見を次男の彼女に託す父で、それを以って父は彼女に次男を託し、次男と彼女は東京に帰っていくけど、
父は結局一人!? ここで終わり!? って少し思った。




家族の大切さの中の悲しみとおかしさ…“おかしい”っていうのは可笑しくもあり、クレイジーでもあるよね。
で、
東京物語』のウィキ読んで、だいたいのストーリーは把握したんですけど、熱海の旅館になろうがみなとみらいのホテルだろうが、時代背景が変わっていても根本の家族の“おかしさ”は時代を経てもきっと永久不変の様式なのかもしれないな、ってちょっと思ったですよ。

東京物語』のテーマに『核家族化と高齢化社会』が一つあったというので、それも変わってないんだろうな と。


別視点の感想。
画面構成?がちょっと気になった。
人物を正面に捉える画が多かったような気がします。とてもシンプルに構成されていたような。
これも小津作品のオマージュなんでしょうか?『ローポジションを多用した手法』だと『東京物語』のウィキに書いてありましたし。
その一方で一つ一つのシーンが流れたあとの余韻を若干残しているような印象も少し感じました。
あと、長男の家だったと思うけど、二階の背景だけの・人物がいない画面になって、その画面のまま一階の画面に移ったと思うんだけど、同じ背景のパーツで構成された画面にそのまま平行移動したような画面になったのは観てて面白かった。
画面の作り方 っていうか、ね。


繰り返しになりますが山田洋次監督作品を初めて観たんですけど、面白かったんですけど、あくまで小津作品の上にある、っていうのも後で分かったので、『おとうと』あたりは見てみたいなー って思いました。


余談ですけど、
観終わって劇場から出て歩いてたときに、同じく映画を観ていた老夫婦が、
「東京ってあんな感じなんやねぇ、大変やねぇ」
みたいな話をしてたのがちょっと気になりました。(笑)
う…、うん。


(↑パンフレット)