藤麻無有彌の日記:||

藤麻無有彌(とーま・むゆみ)がダラダラしています。

“『さよならドビュッシー』を観た。”

『さよならドビュッシー』を観ました。

2月1日の昼間。ファーストデーというコトで、1000円での鑑賞。
館内定員100人ちょいのところに30人強…? 割と入ってるような印象。

私は原作の小説は読んでません。
『さよならドビュッシー』の映画に関してはテレビでやってた劇場公開記念特番みたいのを見た ってくらいで。

『Another』『貞子3D』で出演されて話題になった橋本愛さん主演ですが、私ゃ以前『ツナグ』を観たときに気に入って、それで今回観たいと思ったのが動機。
橋本愛さん以外に観る動機は特に無い  という状態で鑑賞いたしました。



では、以下 改行で空けてから感想。
ネタバレ含みます。
















子どもの頃のシーンから始まってたんだけど、予告映像を見てたので、この ほのぼのの日常は長くは続かないんだろうなー って想像しただけで目が潤んでしまったんですけどね。(苦笑)
ミッキー・カーチスおじいさまは別にフツーのおじいさま。
孫たちには愛情を注いでるように見えたけど、金持ちの家は大変だなー、くらいな。

ぶっちゃけ過去シーンが長いのかな? って思うのもあったんだけど、あとになって意味のあるものだったなー と確認。

火事が起きて、遥(橋本愛)だけが生き残った っていう病院のシーンもすごかった。
硬直した表情からスッと流れる涙なんて感情が詰まっててなんとも言えない。

吉沢悠医師はなんであんな厳しめな接し方だったんだろう って思うけど、後半にいくに従ってデレ度が上昇していったのでおkです☆ww

遺産相続のシーンはシリアスな描写差し込んでくるなー、現実的やなーくらいしかそのときは思ってなかったけど、あとあとから…後半のストーリー見てから思い返すとさり気に重要度高いな、と。

本村弁護士 全然気付きませんでした。スマソw
や、逆に言うと、それだけ役に入り込んでるように見えた ってコトなのかしら。“本村弁護士”に見えなかったから。

音楽学校での仕打ち…っていうか批難のしかたと、そのあとの展開による『手の平返し』は、あぁもぉ。そうね。って感じ。
音楽学校の先生として登場した戸田恵子さんと三ツ矢雄二さんはゲストみたいなものですよね。


で、
岬先生っていうか、清塚先生。
前述しましたけど、公開記念特番をテレビで見たので、そこで清塚さんのインタビュー的なものを見たんですけど、フツーの喋りの様子から柔和なご様子なんですね。
なのでそれを踏まえてのこの作品。作中での岬先生が清塚先生そのままなんじゃないかと。

私、あまり作品に役者さんフィルターを持ち込むのはイヤなんですね。
けど清塚さんはこの作品が俳優デビュー作で、フィルターなんて本来持ち込めるワケがないんです。
けど、橋本愛さん演じる遥に演奏指導されるシーンとかは、ほんとうに清塚さんが あんなふうに楽しそうに教えたり、情熱的な演奏をされたり、楽曲や作者をリスペクトしてるんじゃないか って、そう思えて仕方なかったですね。
清塚信也フィルターが入った? …のかは分かりませんけど、でも違和感は全く覚えなかったです。

なにより魅せどころは、演奏シーンで全身が入るのがやっぱいいですね。もうそこからこの作品が、音楽を重要な位置づけとして持ってきているのが分かるとゆーか。
観ながら、「ミステリー要らなくね?」って思ってしまったくらいで。(すいません。)「この作品、ミステリー大賞とった作品だったよな?」なんて思いながら観てましたよ。中盤は特に。

「『熊蜂の飛行』がリハビリにもいいんだよ。」  ってところで遥が練習しまくって、病院で聞かせるシーンで、
……あのシーンで“16分音符リピートの1分の曲”(←作中岬先生セリフ覚えたw)を流しながら、途中からBGMでベース音とドラム音が加わっていく演出は聞きながらワクワクしましたね。
なにこれ音楽面白い☆ って。 あれはカッコいい!


松葉杖がやられてて倒れたところで、「あぁ、これミステリーだったな」 と思い出す私w


全身火傷の不幸な少女が…っていう見世物になることに怒りを覚えた遥に対して岬先生が「そういうものだよ」と諭したシーンは表現者になるものとしてのメンタルの心構えですね。…私も見習いたいものです。


雨の日の夜、走り回る子どものころの自分とルシアを思い出してたシーンはなんだったんだろう …って思ってたけど、あとで分かることに驚愕。


岬先生の人格高すぎ。
指が動かないときの“魔法”とか、リフレッシュとか。気を利かすのがうまい。
そら遥惚れるわ。


演奏について、完璧な演奏をすれば感動させることができるのか ってのとか、これも表現者の根底の思いの強さを表してるな、と。
そういえばステージに立つことを恐れた遥に、「キミはCDだけのピアニストになるだけでいいのか」的なことを言うシーンもあったな。
岬先生の表現に対しての貪欲さも良く出てましたわ。



予選突破して、そこで犯人が判明した流れまでもビックリだけど それ以上に いざコンクールってなったとき、もう大団円に向かうのかと思ったら、また… ってところで、その、いわゆる“どんでんがえし”のところは本当にビックリしました!
遥 何言ってんの? って思いましたもの。自分じゃない っていうのも、憑依的なこと言ってるのかと思ったもの。

ここで“ミステリー”だな! ってコトをすごい作品の力を以って感じさせてくれますね。

その“どんでんがえし”という核心の部分が分かると、全部のシーンに意味合いが持たれてしまうんですよねー。これすごいですわ。
その状況状況に感情移入してしまって、それだけでもう泣けてしまう。。。

あぁ、私このときハンカチ持参してて良かった…!(苦笑)


そのあとのコンクール本番でのステージは圧巻でした。
演奏もだけど、それに合わせた魅せ方も最高でした。
なんて言うんだろう……思いを巡らせてしまうのね。遥のこれまでの人生みたいなものに。。。
それを経てのステージに立ってるんだな…って思うと、よくぞここまで…! って。


意外に… っていうと語弊かもしれませんが、ほんとうに予想以上に良い映画でした!
橋本愛さん目当てで、別段クラシックに造詣があるワケではありませんが、楽しませて頂きました!
橋本愛さんの鬼気迫る演技力とその強さゆえの脆さと、清塚さんのどこか飄々とした中にある芯の強さみたいなものとか。

パンフレットも買いましたけど、監督の利重さんと清塚さんの縁とか、作品への追及する地力の双方が備わった絶妙なバランスで磐石が形成されたんだろうなぁ、と思わされます。

良かったですよ!映画見終わって、良かったを噛みしめました☆