ふみふみこ 著。『さきくさの咲く頃』を読みました。
のぞきが趣味の女子高生・澄花と 幼なじみでいとこの暁生、千夏。
不器用な三人が 古都・奈良の四季とともに駆け抜ける
一年間の恋と成長の日々。(帯、紹介文より)
著者、3ヶ月連続刊行第一弾。
あっという間に読めました。
近くにいたからこそ見えなかったもの。遠くから眺めるだけでよかったのに近づいてしまったがゆえに見えなくなったもの。
見たくなくなったもの。
触れずにはいられなくなったもの。
“私”の前からいなくなったのは“私”が自らその気持ちに距離をおいたからなのに、近くにいない。
4話、5話がまとめとして秀逸で。
5話で書いてあったけど 結局は『ひとりよがり』…や、ある意味誰もがひとりよがりだったんでしょうけどね。主人公が澄花だから澄花のひとりよがりが目立つカタチにはなってるけど。
これは学生生活からそれぞれの将来・進路へと旅立っていく、誰もが訪れる機会で。
ただ想いの経緯が屈折してるから…? 田舎という環境だからか。
想いの押し付けなのか。
すごく面白かったです。
季節とともに巡る3人の儚い想いが、報われない三角関係も相俟って 巡る。移る。
こういう静かで叙情感のあるものは好きですよ。
さきくさの咲く頃
(2012/11/15)
ふみふみこ
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