藤麻無有彌の日記:||

藤麻無有彌(とーま・むゆみ)がダラダラしています。

“【映画】 : 『ツナグ』を観た。”

映画、『ツナグ』を観てきました。

なんとなく映画観たいなー って思ってて色々迷って。選んで。

梅ちゃん先生』を見てたので(とはいえ主にストーリー後半からですが)、松坂桃李くんの素朴な演技とかが私的に好感触だったので…クランクアップ後の堀北真希さんのインタビューみたいなもので、なかなか撮影中は人見知りなのか遠慮してたのか打ち解けなかったとかで(生まれ年は同じだけどキャリアが違うためか)、その辺りの逸話も出た『あさイチ』とかも見たので。
…そこらへんから人間的になんだか松坂桃李くんを許せたので(←エラソーにw)、今作を観てみたいなー と。


最近観に行ったのですが 公開日から結構日をおいていたにも関わらず…尚且 早朝1回目のときに行ったのですが、そこそこ人が入ってました。



(以下、映画の内容に触れますけど、公開から日にち経ってるのでフツーに書きます。)


感動の押し売りになったらイヤだなー、って思ってましたけど、別段 そんな印象は持たなかったです。

フツーに真面目な高校生の歩美(松坂桃李)が、高校生の割に達観してるような、みょうにおばあちゃん子の暖かみのある雰囲気の背景も見てて穏やか。
祖母であるアイ子(樹木希林)の孫思いであり、お節介な感じも。つか日常の描写が良いですね。鍋を用意してる様子とかね。何気ない日常の様子があるからこそ、両親を亡くしてる ってコト・回想シーンは それが当たり前であるがゆえに今は無い というだけで少しウルっときました。

つか、樹木希林さんが素晴らしい。存在してるだけで画面が締まる。


3つの短編が絡むオムニバスで、一つ目は親子の話で、息子の畠田靖彦(遠藤憲一)と、畠田ツル(八千草薫)の話。
遠藤さんの“This is [不器用な男]”という姿はもぉ、ま さ に ですね。(笑)
死んだハズのかあちゃんがマジにいるとか…! っていうとこでホテルのドア開けて一旦閉めたトコはちょっと噴きましたw


佐藤隆太さんの話と橋本愛さんの話は、クラスメイトゆえに橋本さんのエピソードが締めになるかと思ったら、それが2番目でした。

女子高生の演劇部の嵐美砂(橋本愛)と、御園奈津(大野いと)の親友の話は、ただただ橋本愛さんの演技力に引き込まれました。
『桐島部活〜』とか『Another』に出演されてるのは知ってましたし、名前も顔も知ってましたけど、こうして作品をちゃんと見るのは初めてだったんですけど、橋本愛さんの眼力がハンパなかったです。
明確にセリフや行動に作中に表われてはいないと思うんですけど、このお互いがそれぞれ持ってるものに対して羨ましがってる気持ち。決してオモテに明確に表さない(無いことはないけど、ほのめかす程度のような印象。あくまで印象。)嫉妬心はあまりにも共感できる。
それゆえに親友に対してさえも「死んでしまえばいいのに」と思ってしまう気持ちも、よく分かる。
だからホントに死んでしまったときにはその自責の念が強くて押し潰されそうになるのも。
(ちょっと前のエントリに、『死ねばいいのに』ってコトに対して書いたけどさ。)

御園が死んだあと、“ツナグ”によって再会したときに、ひたすら謝り続ける嵐さんはすさまじかった。ホテルの部屋内でもそうだけど、“伝言”によっての後悔が堰を切ったように溢れ出す姿は圧倒されました。

後悔を背負う気迫、鬼気迫るものがありました。

そしてさりげにその親友役の大野いとさんも良かったです。
正直存じ上げなかったんですけど、芸能人とか言うよりも一般のフツーの女子高生の中にいるちょっと可愛い快活なコ、っていう。ただそれだけの姿がかなり自然にストーリーに入ってて良かったです。

いやぁ、大野いとさんって知らなかったなー、なーんて映画見終わったあとにネット見てたら、たまたま見出しだけ見て記事まで読んでなかった『91回全国高校サッカー選手権大会の8代目“応援マネジャー”に』っていうニュースをちゃんと記事読んで、あぁ!この人だったんか! と直後に思いました。(笑)
(これで私がいつこの映画を見たか分かるとゆー…w)


3番目の話が土谷功一(佐藤隆太)がプロポーズ後に失踪した女性・日向キラリ(桐谷美玲)の話。

どーでもいーですけど「“キラリ”ってなんだよ!?w」ってとりあえず思いました。w DQNネーム…いや、ただの痛い名前かよ! つか、どーしても『きらりん☆レボリューション』が頭に出てくるよ!!ww

桐谷美玲はフツーに可愛いですね。ギャルメイクした桐谷美玲は可愛いですね。たまに平野綾に見えました。(←
田舎から出てきた設定なんだから、方言使ってれば尚かわいかったろうに…。あぁすいませんどうでもいいですね。
佐藤隆太はどうしても、そのくしゃっとした笑顔で“佐藤隆太フィルター”がかかってしまうんですよ。楽しそうな回想シーンとか写真の中の笑顔はどうしても土谷というキャラよりも、佐藤隆太に思えてしまいがちで…。
だからほぼ、神妙な面持ちでいるシーンが多かったので、“失踪後7年思い続けた土谷”として見れたのはよかったです。


エピソード全体としては2番目の親友の話のほうが突き刺さったんですけど、3番目のこの話はちょいちょい引っかかる言葉があったりしてそれがさりげない。
「会えば生きてる私が死んでしまう」とか。
死ぬことが、“死ぬ”ことじゃなくて、“遠くに行ってしまう”こととして受け止めることが出来るから、ある意味、“失踪”という有耶無耶になってたコトをわざわざ重い事実を受け容れなきゃいけない っていう、その葛藤もアリでしたし。(それが土谷が躊躇う理由に丁度なってるけどね)
あと、ホテルで再会したときのキラリのセリフで、「何も残せなくてゴメンね」っていう。
これも見てた私としては複雑でした。

残していくものがあったほうが嬉しかったのだろうか? っていうね。

勿論、キラリというキャラクターが偽名でね「ウソだらけの私を愛してくれて」ってあったけど、だから本当にリアルになにか残すことが出来たら っていう、そこからの「ゴメン」だと思うけど。

今作のテーマにもなってるし、アイ子の兄の秋山定之(仲代達矢)の言葉にもあったけど、「目に見えてるものだけが真実じゃない〜…」っていう言葉が出てきて、

名前も素性もウソで、「嫌われたくない一心だった」っていうキラリの残したかったもの、与えたかったもの、その想い自体に真実があった。だから土谷も急な失踪に『自分が騙されてるだけとは思えなかった』から想いを疑わなかったのかな、と。


あぁ、で、これが最後の、両親の最期についてお互いを想いやったコトにも繋がるのかな。




全編、号泣 っていうのじゃないですけど、じんわりと考えさせられる作品だな って思いました。
また役者陣が年代幅広くもベテランばかりでそれも楽しめました。



パンフレット買って読んだのですが、仲代さんは熟成された達観したお考えでおられるのに対して、樹木希林さんが達観…っていうか諦観的な(苦笑)非常にサバサバした、俗っぽいのに淡白というお応えをパンフのインタビューでされてて面白かったです。w
この、「目に見えてるものだけが真実じゃない〜…」っていうコトの作品だけど、や、だって樹木希林さんは実際に目が……ねぇ?……でしょう?
([外部リンク] : 『樹木希林』(Wikipedia)
これに勝るリアリティがね。樹木希林さんご自身がお持ちで。。。

また 作中にあった『最上のわざ』の言葉。パンフの制作背景にて、この詩も樹木希林さんが映画に使われることを提案したとありましたけど 実際観ててこの言葉気になってましたからね。


脇についての感想ばかりのような気もしますけど、主演の松坂桃李くんはこういう素朴な雰囲気の世界の中で見るのに適した役者さんに見えてよかったです。まぁ、『梅ちゃん先生』でのフィルターがかかったままだからかもしれませんけどね。


2012 11 16 映画『ツナグ』パンフレット

(↑パンフレット)