藤麻無有彌の日記:||

藤麻無有彌(とーま・むゆみ)がダラダラしています。

“『とよ田みのる短編集 CATCH&THROW』読了。”

とよ田みのる短編集 CATCH&THROW』を読みました。

いやぁ、ホント稀有な作家さんだと思いますよ。
淡々と進んでいくような中での刺激の与えられ方とか、ちょっと重いものもポップになって それがキャラの強さを表したりとか。

“素敵な面倒さん”は現在連載中の『タケヲちゃん物怪録』に近いもの。呪いの設定や“面倒さん”の仏頂面とペルセウスが大いに笑うところなどが共通して見られるので 今の“とよ田みのる”作品としての入門作品かと。

表題作でもある“CATCH&THROW”はあとがきにもありますが これまでの作者作品の総決算となるようなもの。

私としては収録作中この作品だけ週刊少年サンデーで読んでて既読だったのですが、『友達100人できるかな』のような真剣さというか真摯さがあったり。(恋愛要素もあったけど、『ラブロマ』とはテイストが異なるもので。) なにより読んでて“フライングディスク”(この呼称も作中で初めて知った)が、この短い作品の中でしっかり詰め込まれてて、且つクドくなく。なんだかとても楽しそうで興味が湧くようなつくりになってて、それ自体でもぉ十分面白いとゆーのに、
キャッチ&スローというものをコミュニケーションというものにしてる、そのキャラの背景や関係性も自然に読めていけるのですごいとゆーか。
いやぁ…“キャッチ”すること って難しいですね。


短編集、以降の作品は同人誌発表のものだそうで、
最後に収録されてた“片桐くん”は『ラブロマ』のような雰囲気。…というか主人公の見た目がなによりそうさせてるんだけどね。


“等価なふたり”は合作によるもの。だそうで。
これ、あとがき読んで なによりその企画自体が面白いなー って思いました。
同人誌を共同作成した人とネームを相手に渡して描いてもらい自分も相手のを描くというのが。で、作品自体のテーマも“交換”にする。っていう。
これはとよ田氏がネームきったほうも読んでみたいですね。


“ヒカルちゃん”は『友達100人できるかな』で出てきたヒカルちゃんとその相方の椎名さんが主人公なんだけど、こっちのほうが『友100』よりも前なんですね。読む前はスピンオフかと思ってた。だから関係性というか設定が異なるんですね。
この作品が短編集中で一番好きというか胸を打たれましたね。

『幸せ』を拒絶しているのに、『ヒカルちゃん』を呼んだという経緯。
『人の「想い」がカタチになる』とか、
学校にバケモノが現われたときに自殺を図ろうとする椎名さんを助けたときの、『たくさんの「想い」を押し込めている〜…押し込まれた「想い」はずっとずっと大きくなるの』とか。
……これ、最近当ブログでは潜在意識とか顕在意識とか書いてますけど、それに通じるものをなんか感じましたね。
ヒカルちゃんは椎名さんのほんとうに願っているものを叶えようとしてる……っていう。



作品が終わるごとにあとがきマンガがあったり、カバー裏も当然のようにあったりと大ボリュームです。
収録作の“面倒さん”と“ヒカルちゃん”の要素が『タケヲちゃん物怪録』に繋がっていってますね。

とよ田みのる短編集 CATCH&THROW (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)とよ田みのる短編集 CATCH&THROW (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
(2012/05/11)
とよ田 みのる

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