藤麻無有彌の日記:||

藤麻無有彌(とーま・むゆみ)がダラダラしています。

“【イシデ電】 : 『ラブフロムボーイ 1巻』読了。”

2012 03 23 ラブフロムボーイ 1


イシデ電 著、『ラブフロムボーイ 1巻』を読みました。

コミックナタリーで記事が紹介されていたのを見て知り、購入しました。

『月光橋はつこい銀座』で知られる、とありましたけど、多くの漫画ファンは志村貴子作品のあとがき・オマケページで多くお目に掛かってる漫画家さんですよね。

私個人としてはIKKI掲載作品だった『リアルワールド』がけっこう好きだったので、それ以降気にかけてる漫画家さんで、単行本を発刊されるのも久しぶりで嬉しいですね。


溢れ出すような感情。止められない激情。理性で全てを判断できているのにも関わらず。

2作目と4作目はモノローグを語り手として(ただし後者はマユキが代弁)、理知ではまとまらない言葉の意味を意図を繋ぐ。
1作目と3作目はどこか被害者でもあるような当事者が葛藤を抱えて感情が溢れ出す。

個人的には舞台が日本の現代モノっぽい1作目と3作目が好きです。
1作目“世界の終わりの、そのあとで”では、愛情が作られたもの・ニセモノなのじゃないか っていう疑いのもとがあるのだけれど。
これ、『ほれ薬』による恋愛感情が消えてなくなるとしても、キッカケを作った根底の愛情は確かに刻まれてるよね。最初、「視線を向けても目が合うこともなかった」っていうくらいだったんだから。
愛情の反対は無関心 っていうんだから。
それがどんな手段であっても、肯定的な関心を向ける術なら。『ほれ薬』を使ったコトが反則だったとしても これは純粋な愛情だったんじゃないかな。

3作目“ニットメン、毛糸を買いに”。
なによりここでの主人公の強さは、友人に嫉妬の念を、惨めさをぶち撒けたコトが強い行為だな って思った。
実は過去の出来事から立ち直ってリア充っぽくなってた友人に、『すっげームカつく』という旨の言葉をぶつけるコトが出来たのが、なんかすごい。と。
フツー、言えませんもの。友人が実はオレを見下してたんじゃないか って考えちゃって、抱え込んで、余計に溜め込んで鬱積するもので。
けど そうならなかったのも、マフラー作ってあくせくしてる過程をずっと友人は一緒にいてくれてた。それが大きいからなのでしょうね。
だから堂々と ソイツがムカつく。


もちろん、2作目と4作目の『カイソク・パンツ』にまつわる話も良かったですよ。
(とくに2作目のほう。『がまんして がまんして』というところとかね。)

人間のみっともなさ。そこから溢れる今を肯定していく意志の強さ。
“知らぬが仏”で安定した感情を維持し続けていくこともできるでしょうが、黙って騙していれば問題ないこともありましょうが。弱さが明らかになって、強くなる それを魅せられましたね。

ラブフロムボーイ(1) (朝日コミックス)ラブフロムボーイ(1) (朝日コミックス)
(2012/03/16)
イシデ電

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