藤麻無有彌の日記:||

藤麻無有彌(とーま・むゆみ)がダラダラしています。

“『3月のライオン 6巻』読了。”

3月のライオン 6 (ジェッツコミックス) (6巻)』を読みました。

前巻からの続き、いじめに遭ってしまったひなちゃん。それに対して何とかしようと 恩義を果たそうと(やや暴走しながら)奔走する零。 …が主軸。


2巻とか3巻とか読み返してたんだけど、あれだけ心を閉ざしていた零が、ここまで誰かを想いやるようになったことが。
今まで、川本家の面々や、二階堂から受けていた色んな想いが全て結集されていて、そしてこの6巻の物語の中で彼・彼女らが自分自身との戦いに呑まれている状態で、それに対して何とか報いたい。恩を返したいというエネルギーがすごく溢れている。


本題。
羽海野先生、よくぞここまで向き合って描かれていらっしゃるなぁ。。。敬服致します。

いじめ関係の問題は解決しにくいし、本作では女子ならではの陰湿さもだし。
これさぁ、ひなちゃんはズバッと自分の覚悟を持ってるところがあって…や、とても繊細なんだけどさ。だからこその弱さもあるんだけど。
ちほちゃんみたいなケースも当然あって、受け止められなくなってしまうんですよ。
(実際に羽海野先生の身内の方の話がモチーフになってるそうですが。)

新潟のちほちゃんの親からの手紙にあったように、ちほちゃんの傷は癒えないままだし。
物語としてはきっとひなちゃんの為にどうにかなる展開をホントに願うんだけど。

大きな笑い声を被せてくる その集団は どうしたら理解するんだろうか。

だってこういう問題の解決はいつも 時間が解決してくれるのを、ただ いじめを受けている子は耐えているだけだから。
自殺する。転校する。標的が変わるまで待つ。
…標的が自分にならないように やり過ごす。


ちなみに 蜂谷すばるとの対局での蜂谷の態度も。その際の零のモノローグも、ひなちゃんのクラスのいじめの部分と共通する。と思う。
指を鳴らす、舌打ちをするなどの五月蝿い行為は、蜂谷の中では自分自身の対局を優位に進めるためのリズムであるかもしれないけど、それが集中を妨げる。すごい迷惑。


『何でこんな風に振舞っていいって思えるんだろ?』


なんで自分の不安をかき消す為に、誰かを不安にさせることを無頓着に行うのだろう。

またそれを何故 面白がるのだろう。


(横でスミスさんとかが零に言った「『世界の中心は俺だ』とか思ってんだろ」は、横で2人が対局してるのが自分たちに迷惑だから巧いこと蜂谷をコントロールしとけよ …ってコトだと思うけど…。(苦笑))


高橋くんは真っ直ぐでホントいい人。けど女子の問題に男子が入るとめんどくさいんだよね……。

あかりさんの心情もこれまたすごく理解できる。どうしていいか分からないし、“お母さん”をやってきた中での感覚も揺らぐもの。だからそこで『頼っちゃうからね!?』って言葉や、いなくなった川本家の父親の話をさりげなく零に話したのは、零への信頼もだし、弱さを露にする強さなのかもしれないね。

林田先生(元担任)はうまく零をコントロールしてるなー。



後半は主に二階堂の話。
家のこととかで自分のことばかり考えていて申し訳ない気持ちになっていたこともある零が、“二階堂の為に”なのか力んで対局しようとしてたところに、二階堂からの『自分の将棋を…自分を大切にしてくれっ』(元セリフは2巻でのMHK杯での二階堂の解説シーン)という言葉は 心強く背中を押す。
自分以外の人の心に気付けないことを嘆いているけど、その気持ちに気付いたからこそ誰かの気持ちに応えようとする。



困難はまだ終わらない。
けど、優しさに気付いて、優しく在ろう、今まで支えてくれたことに零自身が感謝し模索している。
成長したよね 零。

3月のライオン 6 (ジェッツコミックス) Book 3月のライオン 6 (ジェッツコミックス)

著者:羽海野チカ
販売元:白泉社
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