『3月のライオン 9巻』を読みました。
高校進学を前に、ひなたは零の通う高校を受験することを決意。零もそんなひなたに勉強を教えながら将棋を指す中で、今の自分にとってひなたの存在がいかに大きいかを自覚し出し…。(amazon内容紹介より)
“高校生男子”という単語に“ヤングアニマル(掲載誌)”というルビを振るセンスwwww
冒頭回のひなちゃんをいじめた高城さんの続きですが(ちなみにこれが原画展で展示されてた回です。)、個人的にこれはこの歳のコに果たして理解できるだろうか?
というのが率直に思いました。新担任の言うコトはあまりにも尤も。報いは受けて然るべきだと思うし。
これはね、自分の大きさを知っても、やりたい事が見つかっても、なかなか解決できない問題ですよ。
努力の意味もきっと見出せないでしょうし、報われない努力もきっと経験する。(これは最近掲載された『銀の匙』にも書いてあったようなコトですけど)
自分のことなんて結局理解できないし、自分の本心なるものがそんなに安易に分かるワケがない。それは幾多の大人が迷ってるし、不安はきっとなくならない。
私が思うのは、そうした不安を抱えていながらも、何故他者を排斥する態度をとる人間と、それを抱えて堪える人間に分かれるのか を、知ることだと思う。
不安を取り除くことは出来ないよ。それはあまりにも運が要る。
これからの難儀を乗り越えるには、不安すらも受容する覚悟がどれだけ背負えるか だと思うので。(それこそハードル高いですけどね。)
ほかは帯にもある通り家族がテーマになってて。
『甘やかしうどん』良いなぁ…美味そうに見える…。
やってもらって嬉しかったことを妹にするあかり。家族の経済事情を知ってるひなちゃん。その上で後押しするおじいちゃん。こういう小さな思いやりの連鎖は好きです。
おじいちゃんが医者で健康状態を気にしてるところはリアル。
娘がいなくなってしまったから孫のコトを…という覚悟の強さ。
(ん? こういうところを高城さんが知ればいいのか? とふと思った。)
零くんは家族にもうなっちゃってますからねー。わざわざ恋愛してドキドキする必要がもう無くて、家族という欠かせないものにもうなっちゃってますからねー。
最後に収録されてる土橋さんのエピソードはなんというか…、これ読み手が自分に置き換えて考えてしまうんじゃないかって思うと目頭が熱くなりますね。
現在の自分と昔の自分を交錯させながら…。
親の不安もあるからね。
…うん?あ、これが土橋さんの報われない努力になるのか?
や、ある程度報われてはいるけど。その一歩が届かない感じが。それは対局後の藤本棋竜によるセリフも絡んでだけど。
報われてはいないけど、ただひたすらに自身を研磨し鍛錬してきた。
その結果、見えてないものに気付いて、宗谷さんとの距離が詰まった てちうのが面白い。…タイトルを取ることよりも、「一緒に研究することになった」っていうのがデカイ。
感想書きながら気付いたけどこの巻面白いね。
『家族』というのはオモテのテーマだけど、裏では 抱える不安を背にしてどう付き合っていくか その覚悟と報酬が描かれてる気がしました。
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