藤麻無有彌の日記:||

藤麻無有彌(とーま・むゆみ)がダラダラしています。

“【映画】 : 『百年の時計』を観た。”

映画、『百年の時計』を観ました。

今年7本目の劇場鑑賞作品。
(以下、Wikipediaよりあらすじを引用。)

香川県に在する高松市美術館に勤務する学芸員、神高涼香は地元出身にして現在では世界を代表する老前衛芸術家安藤行人の回顧展を企画・担当する。あるきっかけで以前より安藤のファンであった涼香は大喜びだったが安藤は気難しい事でも有名で、実は彼の仕事の交渉は安藤の娘が間に立ったマネージメントによるものであった。

本人との打ち合わせの当日。安藤を迎えにきた涼香たち美術館職員の前に姿を見せたのは、これまで仕事の交渉を続けてきた安藤の娘・美咲のみ。なんと安藤は先に香川県に来ているという。てっきり美術館職員と落ち合っているものと思い込んでいた美咲と共に涼香は安藤を探す羽目に。安藤本人は片原町商店街で無事見つかったものの、その後も涼香は安藤の仕事を投げているかのような態度に翻弄されてしまう。

遊ばれてると思い激怒する涼香に安藤は言う。もう自分には作品を作る気力が無くなっているのだと。娘や共作者を始めとする、自らの周囲で動く者たちも自分の作品に魅力を感じてくれているのではなく、自分の作品が生み出す金や名声が目当てなのだと。

無気力と不信の塊となっていた安藤に、涼香は涙ながらに初めて安藤のインスタレーションに触れた時の思い出を語った。それは涼香が安藤のファンとなった原体験でもあった。そんな涼香に安藤は言う。自分が芸術家を志す出発点となった一つの懐中時計。百年の時を刻んできた、その時計の元の持ち主を探してほしいと。その時の思いが蘇れば作品を作る気力とアイデアがわくかもしれないと。

そして涼香は安藤と共に時計が刻んできた百年の刻を追体験する旅に赴くことになる。

(以上、引用。)


観たいと思ったキッカケは木南晴夏主演であることが一つで、
(『20世紀少年』の小泉響子役や、『勇者ヨシヒコ』のムラサキ役などが有名だけど、私は『ヨシヒコ』をまともに見てないとゆー…。)
昨年末に『綱引いちゃった!』を観たんですけど(もうレンタル開始してるんですね)、あの映画が大分県大分市を舞台にした作品で、実際にあった綱引きチームを題材にした っていう、ローカルなものを・地域に根ざしたものを題材にした ってコトが面白くて良かったので。
で、
ウィキでキャスト調べて、木南晴夏さんはこの作品にメインでは無い立ち位置ではあるけど出演されてて、木南晴夏さんのウィキを見たら、この『百年の時計』の主演をされてると。
しかも香川ローカルで鉄道も絡んでるとか。

既に香川県では公開済みで、全国順次公開 っていう状態だったので、結構楽しみにしてたんです。まだかと。

そしてようやく ってコトで。
あぁ、前売り券も買いましたよ。ネットで特典付きのを。
琴平電鉄の解説ガイド本。おっと私はテツじゃあ無いのでさっぱり分からないんですけどね☆



以下、ネタバレ含みます。












5月25日公開。
つい一昨日行ってきました。
夕方からの部(レイトショーではありません)で観て、定員132人のところに私含めて4人でした。
………あまりメジャーな作品じゃないですからね。

共演…というか準主役でミッキー・カーチスさん。
個人的に最近よく見ますわ。『さよなら ドビュッシー』でも出演されてるのを見ましたし、先日テレビの2時間モノでも見ましたし。前者は富豪役。後者はホームレス。そして『百年の時計』では芸術家。…実に“らしい”役どころばかりを担当されてます。(笑)

ミッキー・カーチスさん演じる安藤という芸術家がもっと破天荒かと思ったら結構普段は常識的な振る舞いだった…。(まぁそうじゃないと破綻するんだろうけど…。)


全体的な話の流れとして、安藤カーチスが持っている懐中時計の持ち主を探す、っていうのがメインで暫くあるので、その部分が会話劇だけであったり、回想シーンが続いたりして、ちょっと長く感じたのが微妙に思ってしまいました。
その木南晴夏演じる神高涼香が安藤カーチスに『振り回される』ことが必要で、主人公と同じ感覚を得るための演出だったのかもしれませんが。


涼香の父親である井上順さんと安藤カーチスが意気投合して楽器やってたところは少しワロタw
涼香父「昔やってたので(照笑)」
そうやねww



時計の持ち主が発覚して、安藤カーチスが『新作思いついた!』ってとこからの展開はすごく良かった。
先ず、“アート”という物に対しての安藤カーチスのポジションが良かった。
企画を持っていって振り回すことを咎められた木南涼香が、安藤カーチスから、
『人を巻き込んでこそ!』
っていうような言葉を言ったこととかね。

なんでもかんでも規格外なコトをやって、破天荒に人を巻き込んでいけばそれがアートか って言ったら疑問符は確かなんですけど、それを勝る説得力が安藤カーチスにはありましたね。

メインとなる『百年の魔法列車』の企画から実施に至るまでもすごく良かった。

もともとこの映画が作られたベースが“ことでん(=琴平電鉄)”の創業100年との絡みでもあって、それプラス懐中時計が刻んできた時間…1911年に作られたという時計が、今まで色んな人のもとを渡り歩いてきたこと(だから安藤カーチスは最初っから渡してくれた人を知ってたけど、結果的に時計の辿った道を知ることになり、木南涼香も振り回されてただけじゃなくて、時計が辿った経過を追跡したことになるワケで。“振り回された”だけでなく。)

列車に乗車する駅によって、その見える景色が異なる っていう演出は大好物です!
これ映画だから演出過多にも見えてしまうんだけど、実際に出来なくは無いんじゃないか って思いましたね。
一つの経過を知らなければ、次に出合うものへの印象・価値観も異なるワケですから。

そうして乗客の色んな人それぞれが“自分の記憶に向き合う”というのはすごく良かった!
この“百年の魔法列車”が始まってからのところは、別に泣かせにきてるワケじゃないと思うんだけど、涙が出てきましたよ。マジで。
実際私自身が…過去のブログでも書いてきましたけど、電車から見える景色や、普段の街並みの中で変わってしまった建物とかに感情が入ることがあるので…。それと、色んな人がそれぞれの人生を歩んでいて、電車を降りてそれぞれが出て行ったあと、当然だけどそれぞれの人生の日常に向かう っていう、そんなことも想像するので、すごくその感情部分でのリンクがハンパなかったです!


すごく良かった。
時代の影響もあって、“家”が厳しい事情もあったりとか、戦争があったりとか、今は今でそんなのを感じさせないフワフワした感じがあったと思えば、震災もあったりとか。
経験から感じる価値観が、経験から感じる景色が違うことが分かりやすく入ってきましたよ。




なんだろう…地味なんだけど…地味に良かったですよ。うん。

役者さんがあまり知ってる方がいらっしゃらなかったのが(すいません)良かったのもあるかもしれませんが…。知ってる役者さんで、岩田さゆりさんはいい芝居をされるようになったなぁ、と。『3年B組金八先生』で見てた印象しか無いんだけど…。(^^;
2役を演じられてましたけど、メイクや格好での印象も違うし、演じた時代も違ったのでその棲み分けがうまかったです。
彼氏役だった 鈴木裕樹くんはどこかで見たコトあるなぁ…と思ってあとでネット見て『ゲキレンジャー』ゲキレッドでした。


香川県知事と高松市市長も出演されてて、とくに知事室で喋ってるシーンでは『うどん県』(これもすぐ浸透したもんなぁー)と掲示してあったり。要潤のポスターが貼ってあったりw
安藤カーチスの娘役の木内晶子さんはガチでうどん県副知事なんですね。

この地元上げての一体感が好きですよ。

いいね!香川行きたいわ!

『どうでしょう』で八十八箇所回ったり、讃岐うどん食べたりしてるだけしかイメージなかったんですけど(ホントすいません)、“ことでん”も見てみたいし(この私鉄が私が一回京都で乗った『叡山電鉄』に感覚が似てた。あと『あまちゃん』の舞台も私鉄絡んでるし。)。



この映画を見るまで『百年の時計』という作品がここまで電車と親和性高く作品として昇華してるとは思ってなかったです。時計(時間)と電車と、記憶。そしてアート。 よくぞ合致したものです。




パンフレットも買いました。500円。


キャストインタビューが無いのが…せめて主演のお2人は頂きたかった…。