村上かつら 著、『Hatch 1巻』を読みました。
厳しすぎる母のもと、28歳にして未だ恋愛経験がない宮下のえみ。 生涯独身だった叔母の葬式で「誰でもいいから1秒でも早く結婚したい」と強く思う。 しかし、恋を知らないのえみがの気持ちは、なかなかその想いについていけなくて――。 「結婚はわたしを救うのだろうか?」のえみの“いま"からの出口さがし、切実に胸をうつ第一巻。 (amazon内容紹介より)
結婚の前に、先ず、恋愛経験が無い、っていう主人公ののえみ。
いきなり蛇足ですけど、
まぁ、孤独死防止のために結婚に急ぎだすのもどうかとも思えば、たくさんの人と恋愛重ねたコトが素晴らしいのか、っていうのはなんとも分からない話で。
もっと自然に、そういう感情って求めていくものなんじゃないの?
……とも思ったりしますが、主人公の母親が厳格で、中学の回想シーンで、ちょっとした男の子と触れたことにも厳しく口を出しておきながら、28になって母から、
「あんた いい人いないの?」
は無いよなぁー、確かに。
…と思ってしまうもので。
あぁーうーん、しかし、私も冷めてるのかなぁ。
合コンのシーンで、のえみがその風景を見ているモノローグに共感してしまうんだけど、
『気配りできます』『お役に立ちます』と、
わざわざセールスポイントを 自 然 と 振 る 舞 っ て 、<“私”を買ってもらおう>とするサマは不自然に見えて仕方ない。
就職活動でシューカツする自分が「会社のためにつくします」と言うような。隷属発言のような。
なんてビジネス。なんて契約。
だから合コン後の紘香が、合コンの結果を整理→次への準備…としている様子はまさに“仕事”っていう。w
まぁ、ここまでデータ入力とかしなくても合コン自体がそう見える っていうのはホントのえみに共感だわ。
あぁそうか、そんで千里さんが言ってる、
「『母親』は世間のはじまり」
って言葉が繋がるのか。これはよくできてる。
全ての物事が円滑に成長・繁栄していくコトだけが常としているそのシステム。
利益と繁殖というものが種族の絶対であると思い込ませるために 監視された“世間”。
(なんか本書自体とは脱線した感想になってしまってますが…(苦笑))
これは…28歳にして恋愛未経験・結婚願望というのは、年齢的な飢餓感なのでしょうか。
それとも孤独死というのを惨めと捉えるのではなく、生命の不安という。
命を遺(のこ)すとか、命を繋ぐとか、そういうこと自体への焦燥感からの結婚なのだろうか。
「誰でもいいから1秒でも早く結婚したい」と強く思う。
(本書、主人公・のえみの願望)
…という割には公民館のイベントで『間違いがなさすぎた』男性に疑問を感じたり。
だからのえみの願望は利益的なコトとか、生命の繁栄だとか、世間体とかじゃなく。
ただ経験をしたいだけ。
“間違いをしてみたい”だけなんじゃないかな。
母親が嫌った、『気持ち悪いことに触れること』を自ら行うことで。やっとの反抗期を示すような。
いつでも出荷できる、加工食品の“温室”を出て、自然に求めるもの・求められるものが合致するまで“間違い”や“気持ち悪さ”にさらされながらも。
…ま、これからの展開が楽しみですよ。
いくら今までのビッグコミックスピリッツから、FEEL YOUNGに移ったからといっても、そこは村上かつら先生ですから。期待☆
Hatch 1 (Feelコミックス)
(2012/09/07)
村上 かつら
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