『淀川ベルトコンベア・ガール 3 (ビッグ コミックス) (3集)』を読みました。
最終巻。
エリカは変わらずイヤガラセをしてきたものの、那子とぶつかって本音が見えたり。
また勤める工場は経営危機を迎えたり。。。
天川エリカの那子への嫉妬に関してはよく分からない部分もあるんですが…。
本音でぶつかってくれない那子への苛立ちだったんかなぁ。
ただ、取り巻き…つかその、女友達とエリカの関係に関しては、そういう人間関係の繋がりって、あるよなぁ、って思ったり。
那子自身の今の学校をやめて、工場をやめて…っていう覚悟はすごいというか。
必要の無いものに改めて気付いて、それを切り捨てる っていうのはなかなか出来ないからねぇ。
さて、あとがきを読んで。
1巻の感想にも書いたかもしれないけど、この作品自体が今の時代を投影してる内容で。
“勝てなくても負けの無い着地点”
が、作品としての落ち着くところだったそうですが、たしかに前向きな、主人公かよちゃんが未来へ希望を持って歩んでいく…というエンディングになってました。
“これからも何も変わらない。”
変わらない。もしくは、悪くなっていく。 少なくとも、現状より より良くなるようなものは、この現代には見出せない。
けど、このラスト。
かよちゃんの将来もだけど、エリカからの服のオーダーとかも、フツーは無根拠にイヤガラセをするような・暇つぶしにイヤガラセをするようなヤツらと関わりたくも無いハズだし、エリカもそんな簡単に性格が変わるワケは無いんだ。って思うのです。
(かよちゃんの向き合い方に関しては、まぁ、あるかな って思えるけど。純粋で鈍感っていう感じもあるから。)
そしてかよちゃんの技術。何か秀でた能力があって、それを那子とかがキッカケを作ってくれた。
これも、家系からなのか、そういう技術を持ってたことが、かよちゃんの希望になったんだと思う。
こういう、現実に根ざした作品で、希望を描かれるコトって たいへん難しいことだと思うんですよ。
ただ、かよちゃんの核心は描かれていたのではないでしょうか。
“自分とうまく繋がってないときなんだ―――…”
かよちゃんも那子も、これに最終的に辿り着けたエンディングだったんじゃないでしょうか。
この作品を描かれた村上かつら先生もすごいですわ。
「閉塞感」を包んでいた現代から 震災後の混乱のある現在に、小さな希望を提示されたこと。
新たに踏み出したキャラクターの勇気とともに。
淀川ベルトコンベア・ガール 3 (ビッグ コミックス) 著者:村上 かつら |