藤麻無有彌の日記:||

藤麻無有彌(とーま・むゆみ)がダラダラしています。

“『西島大介のひらめき☆マンガ学校 マンガを描くのではない。そこにある何かを、そっとマンガと呼んであげればいい。』読了。”

西島大介のひらめき☆マンガ学校 マンガを描くのではない。そこにある何かを、そっとマンガと呼んであげればいい。 (講談社BOX)』を読みました。

昨年6月発売のもので、発売時に購入してましたが、やっと読みました。

すっごい面白かったです。

下書きであろうがそれが掲載されてしまえば漫画作品。

BASTARD!!』や、『HUNTER×HUNTER』のように上がってなくても載るコトで叩かれることもあるけど、その作品はその作者さん個人にしか出せない構図や演出があったりする。

(萩原先生はもともとクオリティの高い作画をしようとし過ぎる方ですし、冨樫先生はモノトーンで魅せるし、なにより線が少なくても魅せる“画”をお持ちですからねぇ。)

“他人の作品をカバーする”とか、“ネギま!”のある1ページをえらい短い時間(30分で、15分で、3分で)でカバー(自分の絵で模写するとでも言うんでしょうかね)するとか超面白い!

そうなんですよ、『作画ってすっごくめんどくさい』んですよ。

で、困るのは(雑誌・編集的に?)“間に合わない”っていうコトだと思うし。

コピー手法に関しては、漫☆画太郎先生の例がありましたけど、画太郎先生の場合、コピーを使われるなんて読者的には全然アリっていうか、ネタ的に楽しめるというのもありますしねぇ。

オノ・ナツメ先生や、五十嵐大介先生の作画について(西島先生がIKKI繋がりというコトで)紹介されてましたけど、両者の作画手法やこだわりについても興味深く、それ故に早い仕上がりであることや、自分で決めたこだわりから仕方ない っていうこととか。

ジャンプSQのきづきあきら先生×サトウナンキ先生インタビューを最近読んだんですが、2人だけで作業されてるんですね。これもコミックスタジオ使ってるからなんとかなってる…っていうことのようですし。(インタビュー中にもありましたけど、だとしても 月産150ページっていうのは流石に驚異的な作業だと思いますけど。うらやましい。どうやって作業されてるんでしょうねぇ。。。)

象徴的なのが西島先生のこちらの発言、

『「自分が納得いかないから」みたいな理由で描けなくなっちゃう必要もない』

『自分が無理しないで描ける、ちょうどいい水準のものを探し出すのがいいと思います』(P.136)

構図と絵があれば良い、というコトから発展して、3章では物語について、

『文字情報だけあればいい』というのもまた面白い。アンケートから話を作っていったりするのは描きたいものが研ぎ澄まされて良いかも。

『作品のセリフを 似た(傾向の)漫画と入れ替える』は読めるし面白いけど、ネタ的な域でしか無いと思うんだけど。(笑) ま、それでも『漫画なんだから面白ければアリ』(by バクマン)っていうのならアリなんでしょうか。

絵とかに関しては敷居が下がるものが大きかったんじゃないですかね。

私の友人の漫画家とかは今、えらい量産して作品描いてますけど、最近昔の彼の同人読んだら、明らかに昔のほうがクオリティ高かったと思うんですよね。(笑) ただ、共通の友人が、その今の彼の絵を見て、「昔に比べて洗練されてる」と評したんですね。

読める最低限を上手く魅せているというコトでしょうか。

この本はなにより漫画として、その価値観を多様化して認識する いい本だと思いますね。

爆笑問題がニッポンの教養で浦沢先生と対談した回とか、それの特番だったかで 昔の手塚先生の映像を見た時に、『“漫画”というもののフォーマット』についても、“何を以って漫画とするか”? というコトに縛られているんじゃないか っていうのもありますからね。

“3日で漫画家になる”という定義が“コミックナタリーに登録される”というのはなんとも言えませんが(笑)、ただ そのスタンスというか、“マンガ”及び、“マンガ家”というものに対してもっとフラットになれる。

そういう意味では 何か目指しているものがある人は、もうその職業の名を名乗ってもいい 的な感じで有効なことですよね。(こういう考え方って、自己啓発的にもアリというか、何かで見たような、こういう考え方って。『10年いっちょまえ説(by 吉本隆明)』のような。)

現在、2学期の進行がどうなっているかわかりませんが、2学期ぶんの単行本も楽しみですね。“厳し目”というコトでどう商業誌と付き合えるか。そもそも商業で描くことの意味とか。楽しみです。

西島大介のひらめき☆マンガ学校 マンガを描くのではない。そこにある何かを、そっとマンガと呼んであげればいい。 (講談社BOX) Book 西島大介のひらめき☆マンガ学校 マンガを描くのではない。そこにある何かを、そっとマンガと呼んであげればいい。 (講談社BOX)

著者:西島 大介,さやわか
販売元:講談社
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