藤麻無有彌の日記:||

藤麻無有彌(とーま・むゆみ)がダラダラしています。

“『3月のライオン 8巻』読了。”

3月のライオン 8巻』を読みました。

2012 12 19 3月のライオン 8巻


宗谷名人と零の対局…というよりそのあとの様子と。島田さんと柳原棋匠との対局がメイン。


前巻冒頭の山崎順慶の個人にスポットを当てた回もそうだったけど、敵に思えないっていうか、誰もが主人公という感じで、誰かに肩入れして勝って欲しいと思えないんですよね。これまでの展開で言うとつい島田さんに応援したい気持ちとか出てきてしまうんだけど(出身が東北であったり精神やられたりなどの努力の人 っていう描写があったからね)、柳原棋匠も、ね。後述しますけど。
誰もが勝ってほしいんですよね。


先ず、宗谷名人。前巻で赤ワイン零しても動じなかったり、記者からの質問にかみ合わない応答をしたりなど“オカシイ人”なんじゃないか っていうのがあったんだけど……零が作中で称していたけど、まさに神様のような。
佇まいであったり宗谷名人が放つ空気感であったりなど、異質な空間のように感じ取れましたね。
尚且つ、『聴こえない』っていう。それ自体も「そのほうがいい」という“俗社会のものに相容れないで済む”っていう。居る世界が根本から違うんじゃないか って思わされますね。
けどその世界に…タイトル戦などで対局を通して触れたりすると、まして零のような境遇…というか性格だと、「心地よい」とありましたけど 加護を受けてるような気持ちになるんでしょうかね。

台風で雨ザーザーの中、2人が立ってる見開きは異質な様子が出てて逆に笑えてしまいました。(苦笑)


後半は島田さんと柳原棋匠との対局。
表紙が柳原棋匠なんだけど(…ぶっちゃけ表紙初見で、『誰だっけ…?』って思ってましたけど、本編に触れると感情移入しちゃいますね。)、表紙の白い無数の帯が……この表紙を初めて見たとき、あの世からの招待のような。ジョジョ4部の『振り返ってはいけない道』みたいな。この白い帯に絡め取られたら死ぬ みたいなのをこの表紙絵から感じたのですが。

本編読むとあながち間違ってない感じでしたね。

先人がいない道を歩き続けなければいけない不安や、周りからの期待という重圧。
これは今巻前半の宗谷名人との対比として、宗谷名人はもはや神様だから、俗世には存在してないから君臨してるのが当然のような佇まい とも理解できるけど、柳原棋匠は実に地に足のついた…、
っていうか、それは島田さんも同じだー! っつーワケで。

お互い体に鞭打ってやってるワケだし、今回はたまたま島田さんがアウェイだっただけですからね。
ただ 立たされてる立場が、現在柳原棋匠が高齢というコトやタイトルホルダーである っていうだけで。で、その友人や自身の内面を覗かせた展開の中での、この柳原棋匠の勝利。
誰にも背景が・誰の人生にもドラマがある と。


なんとなくこれ書きながら思ったんですけど、『ヒカルの碁』の桑原本因坊をチラッと思い出しました。
ただ、桑原本因坊にはそういう内面にフォーカスしたエピソードは無かったですけど、きっと同じように後援会やらの期待があったり体は悲鳴を上げてたりするんだろうけど、少年漫画としての『ヒカルの碁』には必要のない情報だし接点も…“本因坊”なんだからつくれたハズだけど そこまで関わってないですからね。
だから『ヒカ碁』の中では読んだ印象として“ただの食えないジジイ”というイメージが残るだけのような。


『ライオン』の場合は誰もが孤高で誰もが主人公という描写の仕方をしてあるから、だから今回の柳原棋匠もイヤな感じは受けないんですよね。
…どのキャラの立場にもなれるから読んでて難しいね。読んでるほうとしてはしっかりキライになった方がラクですから。相手の事情に触れてしまうと“むぅ……”って思うもの。
82話の柳原棋匠のモノローグにあった、
「好きなヤツも 嫌いなヤツも 山程いたが 間違いねえ ――今の 俺は その 全部のカケラでできている」
これがそのまま 表われてるんじゃないでしょうかね。



83話にて、ひなちゃんが転校していったちほちゃんのところへ。
「同い年くらいの子を見ると 苦しかったことやつらかったことがいっぱいに溢れてしまう」(P.164)
あー、よく分かりますね。
私も過去に理不尽な罵倒を受けたコトとかがあるので、それをした人と似たような外見の人には身構えますね。
今でも私自身に不幸癖があるのでね。

お祭りやってて零とひなちゃんが「こういうのいいね」って話してましたけど、私ゃ大嫌いです☆
地域のお祭りに“似たような外見の人”がたくさん居るので☆

いろんな人に触れる というのは とても難しいですよ。


画像はいつもの刊行記念マンガと、今回の書店特典のしおり。
各キャラのイラストの裏面には、色んな作家さんから『ライオン』についてのコトバが書かれてあります。
ところで先日テレビで西尾維新さんver.のCMを見ましたよ。

3月のライオン 8  手帳付限定版 (ジェッツコミックス)3月のライオン 8 手帳付限定版 (ジェッツコミックス)
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