藤麻無有彌の日記:||

藤麻無有彌(とーま・むゆみ)がダラダラしています。

“『うそつきパラドクス 9巻』読了。”

うそつきパラドクス 9巻』を読みました。

本気になったら終わる恋、完結。八日堂俊介と、栖佑日菜子と、大桑和樹の嘘つきたちの恋物語は、どのような終わりを見せるのか。どのような明日を見せるのか。(amazonより)

9巻、10巻 同時発売ですが、実質本編は9巻で完結してるため、別エントリで。
10巻の番外編、『時間外手当』を読んでから、9巻本編を読み始めて、10巻の続きを読みました。


えーと、amazonでは辛口評価がついてましたけど、個人的にはすっごい面白かったです。

8巻の共有状態から 実に 精神的に大人な八日堂と大桑が、間を取り持って大人な態度を取ってるように見える栖佑さんをひたすら弄ぶとゆーか。

私、8巻のレビューでこういうコト書いてたんですけど。↓

自分への関心も無いのか栖佑さんは。
自己嫌悪にすらなれてないのか。
罪悪感だけあって自責の念だけ抱えることで、自 分 を 悪 く 見 積 も る こ と す ら し な い の か 。
(罪悪感を感じるという ただのポーズ。フリ。)
これはエグいね。



で、
9巻の3人で海に行ったとこで八日堂が栖佑さんに切り出した話で。

『そこまでして「いい人間」でいたいですか?(中略)あなたのその誠意はただの自己満足だ』(P.120)
『こうなったのはあなたが自分を守るために ただ責任を回避した結果なんです。』(P.123)

ぶっちゃけ栖佑さんのこの内面に関しては予想通りで、それを八日堂がやってくれたことにスッキリした感じですね。

そして八日堂が栖佑さんへの気持ちを精査しているシーン(P.86-87)も、舞からツッコまれたところ(「(栖佑)日菜子があなたを受け入れたのは大好きな(大桑)和樹をあきらめるためでしょ?」(P.40))も含めてこれも納得。
栖佑さんが大桑の代用品として八日堂を好きになったのか、というには栖佑さんの八日堂への好意は大きかったと思うので。
八日堂のP.86からのとこで、“付き合い始めたのが後か先かは関係ないこと”とか、“どうしてこんなに理由が必要なんだ”っていうところ。
この流れを汲んだ中でのラストへ向かう八日堂の畳み掛け具合は抜群でした。

だからウソをつく。
言葉で説明できない、言語では繕いきれない態度や表情が本音として漏れていって、それがお互いの放った言葉以上に心に引っかかる。

それが最終的に栖佑さんと八日堂が求めた結果なんじゃないでしょうか。
(P.189で2人がすごい顔してお互い顔を合わせるところは とてもいい表情でしたよ。)

ウソつきのウソはウソでは無い。
ウソつきがウソを言っても、それ以外の…表情や態度はウソにできない。


そういった意味では八日堂はウソつきだったかもしれないけど、ウソをつくのは下手でしたけどね。
新人の大和田さんとのデートの淡白さなんて、丸悦さんと一緒にいたときと変わりないぐらいのつまらない表情でしたからね。逆にあからさま過ぎてウソなんじゃないかと思うくらいに。


大桑の敗因としては、始めは純粋に栖佑さんを好きだったかもしれないけど、舞との浮気とは関係なく、結婚の話が出てきてから体面で取り繕って、家族とかに結婚をどうにか進めようとそてるサマを見せたいばかりになってしまってることが原因かしら。
式を挙げたいと言っていたのは大桑自身の本音かもしれないけど、その本心が八日堂の好きの思いに勝てなかったんじゃないのかね。
あと大桑はどこかいい人過ぎたのかもしれないし。


きづきあきら+サトウナンキのお2人ですので、もっとエグいエンディングかと思ってたんですがキレイで良かったです。ただ栖佑さんのウソ自体にはエグさがやや伴ったかもしれませんが。(笑)

この作者さんによる最長巻作品でしたけど(10巻は番外編集とはいえ)、なかなかの良作でした☆

うそつきパラドクス 9 (ジェッツコミックス)うそつきパラドクス 9 (ジェッツコミックス)
(2012/06/29)
サトウナンキ、きづきあきら

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