藤麻無有彌の日記:||

藤麻無有彌(とーま・むゆみ)がダラダラしています。

“『FILE 081:世も金もゲームなり』を見た。 ”

爆笑問題のニッポンの教養
2009.07.28.O.A.
『FILE 081:世も金もゲームなり』を見ました。

ゲーム理論・経済学。

松島斉(まつしまひとし)
東京大学大学院経済学研究科 教授


以下、番組内容をざっくりと。↓


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先生の部屋にて。松島先生、2001年のテロの時、爆チュー問題を見せて泣いてる子どもの教育上の恩人とか。
生徒が入ってきて金融危機の中身についての本を返しに来たり。


田中:「ゲーム理論っていうことなんですけど、これはどういう学問なんですか。」
松島:「ゲーム理論はどういう学問ですか って言われる前にね、経済学とはどういう学問ですか っていう質問を受けたかったですね。」

松島先生、太田氏に経済学について聞いてみる。

太田:「経済学?経済学っていうのはちょっと当てにならない印象がありますけどね。」
松島:「当てにならない?なかなかいいポイント。
    ここでいう経済学っていう話はね。ものを買うとか 売るとか 決めるよね 自分で。その人がものを決めている様子 そのやり方ね。こういうものをね 分析していく学問なんですお。」

太田:「行動?」
松島:「行動で選択 決めるということ」

    だからね太田さんは、『りんごよりバナナの方が好きです』って言うと、バナナお選びますよね。そうするとね『太田さんはどういう人ですか?』って経済学者がね 聞かれると、バナナとりんごがあったらば、バナナが好きで バナナを選ぶ。そういう人です って答える。」
太田:「経済学者は。」
松島:「そう バナナが好きだっていう方ね。」

松島:「太田さんにバナナがいくようにしたいわけね。
    本人が欲しがっているものが、その人に行きわたるように世の中がどう作られたらいいですか。あるいは、世の中がそうなっているのかを調べていくのが経済学。」
太田:「平等に(っていうこと)?」
松島:「いや、平等じゃない。」
太田:「みんなが おんなじように満たされる…。」
田中:「みんなが満足するように なるべくしたい。」
松島:「そういうこと。まず これが基本ね」

田中:「意外でしたね。もっと お金の こう ね、色々こう 動きとか流れとかなんとなくあるじゃないですか。経済学って聞くとまず、景気。今 不景気だから特に…。
    そういうのよりまずは その考え方ですね。誰がこうだと満足。この人はこれがいい、なるべく合理的にみんながいいという。」



松島:「例えば、太田さんの奥さんのプロダクションが ちょっと一発、新しい事業を拡大したい …お金を借りるわけね。そうすると…田中銀行から借りるわけ 田中銀行は田中銀行でいいビジネスをしたい。
    太田さんのプロダクションにお金を貸して大丈夫か考えるじゃない。そうするとこう 相互依存しているわけだよね。
    そこでこの二つの問題はいっぺんに考えなきゃいけない。みんなの目的を同時に達成する問題をいっぺんに考える というのは、ある意味ではとても難しい。

    太田さんとしては、田中さんがお金貸してくれるか 心配になってくるでしょ。そうすると 田中さんのインセンティブと言って、金を貸す気持ちなのか貸さない気持ちなのかを考えなきゃいけない。」

田中:「それがインセンティブ。」
松島:「そう。田中銀行が既に危ないとこ貸してて 焦げ付いてて貸してくれないかもしれない……。そうしたら 太田さんの問題は田中さんの問題を考えないと解けない。
    これを考えるためには数学が必要。そこで出てきた数学がゲーム理論


《VTR》
ゲーム理論
恋の駆け引きにも似る。
相手の気持ちや行動を読み、互いに満足ゆく状態を考えることから始まるのだ。
これまでの経済学では、物の取り引きを市場に委ねておきさえすれば、うまくゆくというのが大原則だった。
しかし、ゲーム理論はむしろ売り手や買い手の好みや動きに注目する。そして お互いが満足するための法則を導き出すのだ。
ゲーム理論が大活躍した例がある。1994年 アメリカで初めて政府の電波が民間に払い下げられることになった。その方法がゲーム理論の研究者に託されたのだ。
高値で売りたい政府。ライバルを押しのけ電波を独占したい企業。この両者を満足させるため、研究者が導き出した方法は、
電波を地域ごとに分割し、入札で一挙に売る方法だった。
これで政府は莫大な利益を得た。しかも多くの企業が予算の範囲で電波を買えた。

続いて『囚人のジレンマ』について。

《VTR》
囚人のジレンマ
ゲーム理論の基本シミュレーションである。
ここに 太田、田中の2人がいる。それぞれがお互いの家に泥棒に入っても良い場合、2人はどういう動きを見せるのか。(考えられるパターンは4通り。表にしたものをもとに説明していく。)

松島:「2人が泥棒し合いをすると田中さんの効用はゼロ」
太田:「効用?」
松島:「あるいは利得とか。満足度、効用って言うんです。」
両方とも泥棒しないと とても平和。」

以降、例の表をもとに『囚人のジレンマ』の説明。

太田:「別の設定を考えることもゲーム理論の先にあるわけね。」
松島:「そう。だから ゲーム理論は一つの分析のための道具なのね。」


太田:「(ゲーム理論の)目的は何ですか?経済を要するにもうちょっと上げたい?」
松島:「金融危機が問題になっているでしょ。
バラ撒き とか、公的資金 とか……。僕から見ると この話をしている人たちは奴隷だと。」
田中:「過去の経済学の奴隷」

3人が話してる、爆笑問題の2人、先生の間のとこのディスプレイに、

ゲーム理論は『基礎研究』
例:金融危機
金融危機は不測の事態
  過去の経済学の『奴隷』
  ばらまき、公的資金投入、ケインズ政策……
ゲーム理論を使って基礎研究
  病理の仕組みの究明
  適切な政府立案



松島:「そう。例えばインフルエンザ、新しい変な病気が出てきたりするでしょ。ただ、症状を見るとまあ風邪と同じだなと。そうするとちゃんとしてないお医者さんは、じゃあ風邪薬、ちょっと多めに出しておきますってなるわけ。ただ単に症状が風邪に似ているっていうだけで、今までやっていたからまたやるって言っているだけなんです。今回みたいな危機は80年前に一度アメリカで起きています。」

《VTR》
1929年、ニューヨークで株価が暴落し、アメリカの4人に一人が失業。
この不況は世界中に広がり、その規模の大きさから『世界恐慌』と呼ばれた。


松島:「で、80年前って、今の経済学が全然出来上がってない。早い話が 今の経済学のこの流れの中で、今回のような大きな危機は一度も経験がないわけね。経験がない ということは、研究上の蓄積もあまりないわけよ。
    だからね、初めての新型ウィルスの病気でね、風邪薬 山のように投与しちゃった、っていう話で。副作用の方が心配になってきちゃった っていうね。」
田中:「あ〜、なるほど」

松島:「じゃあ、それまでわかるにはどうしたらいいか っていうとね、金融危機の中で起きていることを調べていかなければならない。」
太田:「何が原因か…」
田中:「新型インフルエンザは どういうウィルスか、っていうことを調べるということ。」
松島:「そうすると、正しい治療法が分かるわけですよね。ちょうどそれに対応するようなことをやるのが、役回りが ゲーム理論だと。」


太田:「そうすると先生は、例えば さっきその過去の経済学の奴隷じゃない方法としては何があるんですか」
松島:「一つはね、ゲーム理論を使って、金融危機の仕組みをね、モデルにして分析する」

太田:「分析する段階なんだ。今。」
松島:「これはね、分析している段階なんです。」
太田:「段階なんだ。だからまだ具体的にどうすればいいかわかんない」
松島:「わかんない」

太田:「そうするとさ、それは遅いじゃんか。遅いよね。」
松島:「ところがね、遅いっていってもね、でもね危機っていうのは終わると不況が続く。80年前もね、ずーっと続いちゃうわけ。
    で、続くだけならいいですよ。戦争になっちゃった。それ考えればね、基礎研究やって2、3年ですよ。だから遅くない。」


《VTR》
金融危機だけではなく、外交問題や、スポーツの試合での駆け引き。人間関係など。互いの利害が絡む関係ならば、ゲーム理論が役立つ可能性はある。


そして爆笑問題の関係について、太田氏が喋り。

松島:「今まで培ってきたものの中に いいものがあって、それを生かすというやり方を採った方がいい。」

松島:「(爆笑問題において)最終的な責任を持っている人、それは誰かというと 太田さんは田中さんだと思っている。」



田中:「先生は じゃあ 例えば、日本のこういう分野 特にこれはゲーム理論使えば もっとそれこそみんなが幸せになれるんじゃないか みたいな。普段 思うことってありますか」
松島:「難しい質問 言ってきたね」(笑)

松島:「思ってもいない形で現実に利用される っていうことは 大いにあり得ると思うんですよ ね。こういうものが蓄積されて みんなに広く認知されていく。
    日常にゲーム理論のアイディアがあふれるという可能性は大いにあると考えられる。そんな感じですね。」


“経済学は
 みんなが勝った気になる
 夢のゲームを探す。”

松島:「(太田氏に向かって)文学的ですね。」
太田:「そうですね。まぁ…完全に文系です。」
松島:「うーんとね、文系の中でもね とても文学的でね。
    やっぱり、 悩み 悩まされ 混乱し 、っていうのを自分の頭の中でやるタイプ」
太田:「そう。常に大混乱の中にいます。今さら金融危機だって ちゃんちゃらおかしい。僕はずっと危機です。人生の危機のまま。」
松島:「それは危機って言わないんです。日常です。」


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『経済学』というと、確かにお金の流れがどうのこうのと、そういうコトを思っていましたね。

みんながそれぞれ欲しいものが、それぞれ得られるように――…、っていうと、本当にこれ、お金とか、物なんかじゃなくて、能力的なコトというか、自分には何が向いてるのか……何が自分の本当に欲しいものなのか、を、見究めて、で、そのための方法論としてなんとかなればいいなぁ〜、と思うのですが。

(この前の  NHK マネー資本主義の最終回で、糸井さんが『何が自分が本当に欲しい物か、みんな知らないんじゃないか』みたいなコトを言われてたような…。)

あと、この番組的には初期の頃、 『FILE004:人間は動物である。ただし…。』 で、山岸先生の時に『囚人のジレンマ』についてはやっていたハズですし、またこれについては同じく山岸先生の『日本の「安心」はなぜ、消えたのか―社会心理学から見た現代日本の問題点』でも書かれてありましたけどね。

ゲーム理論で、爆笑問題の関係についてあったように、

経済ものというよりか、コミュニケーション論だと思いますけどね。

ま、爆笑問題については、太田さんが居ないと面白くないけど、田中さんが居ないと爆笑問題は成り立たないんでしょうねぇ。(^^;